コラム

【映画レビュー】US、残酷で異常、メタノール

最近はコロナの影響もあって告知できる仕事もイベントもないので映画の話でも。映画はAmazon Primeで視聴しています。アマプラ会員はぜひ。

※ネタバレを含みます。未視聴の方はお気をつけください

US(アス)/2019

『ゲット・アウト』でアカデミー脚本賞を受賞し、監督としても高い評価を受けたジョーダン・ピールが、再び脚本、監督、製作を手がけた社会派ホラー映画『アス』。アカデミー賞女優のルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカーをメインキャストに迎えている。本作は、北カリフォルニア沿岸部を舞台にしたオリジナルのスリラー作品。アデレード(ニョンゴ)、夫のゲイブ(デューク)、二人の子供(シャハディ・ライト・ジョセフ、エヴァン・アレックス )の4人家族が夏の休暇で保養地を訪れ、そこで自分達そっくりな“ドッペルゲンガー”と出会い、悪夢のような恐ろしい経験をするというストーリー。(紹介文引用)

監督 :ジョーダン・ピール
主演 :ルピタ・ニョンゴ, ウィンストン・デューク, エリザベス・モス

前作「ゲット・アウト」を視聴していたので同じ監督と聞いたこと、「格差社会」をテーマにしていると聞き、気になっていたので視聴。驚きに驚きを重ねる展開で見ていてずっと緊張が続きました。

言うなればドッペルゲンガーが現れた状態なのですが、そこに「言葉が話せない」「犬っぽい少年」「赤いつなぎ」「美容師のような鋭利なハサミを武器にしている」という中2っぽい設定があることで視覚的にも演出的にも楽しめます。また、主人公のドッペルのみかすれた声で人の言葉を話すのですが、これも最後に伏線回収されるのが良い。

地上と地下の人間の説明が少しふわっとしていてリアリティが無いようにも感じますが、「ありえない」ことではないので、こういう世界観だと思えば特に気になりません。ほかレビューなど見ていると80年代の実際のチャリティ運動などをもり込んでいるらしく、近代アメリカに詳しければまた楽しめたのかも。(冒頭がその伏線でしたが、無知ゆえにまったくわからなかった)

「人間は最初から人間ではない」とはよく聞きますがまさしくそれを体現している作品。

漫画にも使えそうだな―と思ったポイント

  • キャラクターの個性(メインの家族)がよく現れていて、ただ、怯えるだけでなくそのキャラクターらしい言動を行うのが見ていて印象深かった
  • 最初はこの家族のみ襲われるのかと思いきや、アメリカ中で事件は起こっていたらしくどんどん広がるスケールに期待が増す
  • 敵キャラの中2っぽい設定が好き
  • 王道だがラスト5分で主人公のさらなる真実が明らかになるのはぞわっとくる
  • 随所に映像の「小気味悪さ」を入れてくるので、美しくもあり不気味でもある(冒頭のゲージの中の兎、古めかしい遊園地、地下施設へのやたらきれいなエスカレーター、地下の野放しになったかわいいうさぎ達)

 

残酷で異常/2014

犯していない妻殺害の罪を追求され、男は永遠に妻殺害の現場が再現される奇妙な建物に閉じ込められる。(紹介文引用)
監督:Merlin Dervisevic
主演:David Richmond-PeckBernadette SaquibalMichelle Harrison
 
 

13歳以上指定入ってるし、邦題とパッケージから勝手にグロテスクなのかと身構えていたのですが高評価に釣られて視聴。
簡単に言うと「タイムリープ地獄」。冒頭女性(妻)を殺し主人公も死ぬというショッキングな内容から始まり、意識がはっきりした先は、現世で殺人を犯した人があつまる奇妙な部屋。そこで淡々と罪の告白をしていく人。いわゆる「地獄」だとわかります。
主人公が小太りのおじさんなので、タイムリープが続く中盤は少し画が退屈ですが、徐々に主人公の人格と人間関係があらわになってきます。

わかりやすいキャラクター設定(ひげ、学生、やたらスカートの短い女)とブラウン管テレビから支持してくる偉そうな人々。(審判者とか閻魔大王てきな立ち位置)
そして「準備がまだできてない」「座りなさい」など繰り返されるワードが多く世界観に引き込まれます。予算がなかったのか演出家はわかりませんが、舞台がきまっていて(主に地獄か主人公の家しか出てこない)のもわかりやすくていいな、と。

ラストの畳み掛けが気持ちがよく、主人公は相変わらず死んでいますが、一人の女性を救ったという誇りがカタルシスを感じさせてくれます。自殺をする人が疎まれるのはなんでだろうと思ったのですが、キリスト教の考えから来ているのでは、という意見を聞いて納得。

 

漫画にも使えそうだな―と思ったポイント

  • 目を引く外見のキャラ(チャラいひげのおじさん、私立高っぽい良い学生服を着た少年、やたらスカートの短い派手めな女性、そして小太りメガネの主人公)
  • 物語中で繰り返されるワード
  • 主人公を見る目が前半(被害者)→中盤(最低野郎)→後半(応援したくなる)で変わっていく
  • 個人的にブラウン管が好き

メタノール/2018

 
実話に基づく。 2012年の夏、刑事たちは史上最悪の事件に直面した。 猛毒の含んだ密造酒は数週間で何人もの命を奪い、国を恐怖に包んだ。 一ショットで失明、二ショットは死を意味する。(説明文引用)
主演:Lukás VaculíkDavid MájTomás Bambusek

実話に基づく話が好きなので視聴。2012年チェコにおけるメタノール入り密造酒事件がもとになっています。2部構成になっていて
1部:事件発覚〜警察出動
2部:捜査〜事件解決
という流れ。密造酒なんて2,30年代の禁酒法時代のアメリカじゃあるまいしと思ったのですが、チェコは結構貧富の差が激しいそうで。そもそもチェコのイメージがぱっとうかびませんが、映画を見ているとなるほどこういう暮らしなのか、と。

日本でも近年食品偽装問題はあったし今後も起こりえるでしょうが、いつの時代も起因してるのは貧困や欲望なんですね。主人公は最初は軽い気持ちで悪意なく密造酒を制作しますが、徐々にことの大きさに気づいて罪悪感を覚えていきます。主人公が青ざめていくのがわかるというか、完全に悪いのは主人公なんだけれど見ているこちらもしんどくなります。また、実際の事件を元にしているとのことで、平穏な家庭が崩壊していくケースがいくつか出てくるのですが胸がしめつけられます。

(映画用にキャラ設定いじってるとは思うが)客観的事実だけを述べたら極悪非道で犯人は極刑になってほしいレベル。しかし主人公は罪の意識がなかったりと、胸糞悪い性格のキャラは一切出てこない。主人公も家族から愛されてて、お金がほしい理由も子供のために庭にプールを作ってあげたいとか、そんなレベル。これが作品をマイルドにしているのだと思う。これで犯人サイドが胸糞キャラだったら見れなかったです。

個人的に主人公の仲間の男の妻がいろいろといさぎよい悪女で好きです。旦那の仕事交渉現場に当たり前についてきて偉そうに指示したり、旦那が捕まりそうになったら捨て身のハニートラップを仕掛けたり。旦那も旦那で妻を信頼してるから色々と頼っている感もにじみ出てて、本当に良い悪女です。

漫画にも使えそうだな―と思ったポイント

  • 序盤は主人公視点だが、中盤は被害者家族の視点になり、後にそれが同時並行で見せてくるのが臨場感がある
  • 事件の深刻さに対してキャラクター設定がマイルドにしてくれている
ABOUT ME
有柚 まさき
漫画も描けるグラフィックデザイナー 1990年生/大阪在住 広島、岡山、徳島、兵庫、埼玉などを転々としており、現在は大阪市在住。広島弁ベースの関西弁を話す。(要はなまっている) 自分の強みであるイラスト、マンガが描けるスキルをもっと生かしたいと思い転職でなく、自ら仕事を開拓できるフリーランスになることを決意。 趣味は漫画、アニメ、映画鑑賞・SNS(twitter廃人)・ビジネス本を読むこと