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スラムドッグ$ミリオネア / 2009(イギリス)

■あらすじ
クイズミリオネアで大金を手にした主人公は警官に酷い扱いを受ける。どうやら「インドのスラム出身なのにクイズに正解したのはイカサマでは」と疑われているようだ。
そこで主人公は自分の過去を話しだす。監督:ダニー・ボイル
主演:デヴ・パテル, フレイダ・ピント, イルファン・カーン
最初はクイズミリオネアで賞金を会得したから捕まったのか?と状況がよくわからなかったが、終盤になって現実世界の状況がわかる。
視聴後は切なさは残るものの愛を貫いた主人公にカタルシスを感じる。
冒頭のシーンから主人公たちの生活ぶりが臨場感高く伝えられ、貧困や宗教に巻き込まれ幼いながらに奔走される様にどんどん引き込まれる。このわずか数秒のカットでスラムの大きさ=貧困の深刻さを感じる。
また、孤児を集めてビジネス乞食を悪い大人たちがさせるというのも闇深いが本当にあるんだろうなぁ。
最初はなぜ賛美歌を練習させているのかわからなかったが、子供を意図的に失明させるシーンを見て「この大人たちにとって孤児は金稼ぎの道具である」という冷徹さを感じた。
兄は産まれた境遇から金に固執し無慈悲な面も見せるが、弟(主人公)のことはちゃんと大事にしているようで、そこも幼い子供らしいリアリティを感じた。(故に他者に優しく出来ずにヒロインを冷遇していたのか…?)
1度地元を出た兄弟が再び帰郷した際にかつての孤児仲間が両目失明させられ歌わされているシーンにて「お前は運が良かった、俺は悪かっただけ」と言い切る人生観の重さ。
そして去る友(主人公)に向かって「お前の葬式で歌ってやるよ」と。ここはすごく印象的でした。他の孤児に足がない子が数人いたのは戦争孤児なのかもしくは…。
漫画にも使えそうだな―と思ったポイント
- 現代日本が舞台でない限りは冒頭の舞台説明は大事だと思った
- キャラクターの行動で世界観を伝える(監視員から逃げる、巨大スラムに住む人々の生活、孤児達の人生観)
- 主人公の望みが終始わかりやすい(兄は金を追い、弟は愛を追い続けた)
アップグレード / 2019(アメリカ)

■あらすじ
近未来。仲睦まじい夫婦が自車で帰路に向かう中、自動運転システムの暴走で事故を起こす。そこに強盗がやって来て目の前で最愛の妻を失い、自身は一命を取り留めたが首から下が動かなくなる。
そこに友人が非合法AI手術を持ちかけ、そのおかげで身体は動くようになった。しかし同時にその高性能AIに頭の中で語りかけられる。そして主人公の犯人探しが始まる。監督:リー・ワネル
主演:ローガン・マーシャル=グリーン, メラニー・バレイヨ, ハリソン・ギルバートソン
世界観と主人公の人の良さが好き。
途中から機会人間(アンドロイド)なども出てきてアクションシーンが気持ち良い。アクションがロボットらしい無駄な動きがないのもユニークでおもしろい。(ロボット故に殺し方が無慈悲で残虐なのは痛々しかった)
またテンポもよく
○○のために○○をする
みたいなRPG的進行なのでシンプルでわかりやすい。
登場キャラクターが少なく話がまとまっていてそれぞれキャラが立っている。
1時間40分という短さで、主人公が体の自由を手に入れる(と、同時に高性能AIと一体化する)まで30分使っているのに、いくつかのアクション要素(事故、悲劇、車椅子生活、警察への捜査協力)があったからなのか全くダレることなく見れた。
ラスト10分の真相には驚いたが、スッキリは終わらない。2019年の映画なので続編があるのかもしれないがこれ単体で評価するとラストで星1つ減る感じ。
しかしそれまでがすごくワクワクさせてもらえる1本だった。


漫画にも使えそうだな―と思ったポイント
- 近未来作画の参考になりそうなくらいセットや車がオシャレ
- RPG方式わかりやすい
ジョン・ウィック /2014(アメリカ)
■あらすじ最愛の妻を病気で失い、失意の日々の中、後日子犬が届けられる。それは亡くなった妻からの最後のプレゼントで、「新たな愛を持つように」と書かれたメッセージカードが添えられていた。子犬と趣味の車を愛でながら前向きに生きようとする中、愛車が街のチンピラに目をつけられてしまう。その夜自宅にチンピラたちが強盗に入り、車を奪われ子犬を目の前で殺されてしまう。実はそのチンピラは、昔主人公が仕えていたロシアンマフィアの息子。妻のためにマフィアの世界から足を洗った主人公だったが、復讐のために伝説の殺し屋へと戻ることを決意する。監督:チャド・スタエルスキ(『マトリックス』など数々の映画でスタントやスタントコーディネーターを手がけたチャド・スタエルスキの初監督作品)
主演:キアヌ・リーブス, ウィレム・デフォー, ジョン・レグイザモ
伝説の殺し屋がマフィアに復讐のために復活するというのはベタだし、終始ターゲットに対して向かっていくとてもわかりやすくシンプルなストーリー。しかしキャラクターがおもしろさを引き立ててくれている。
NYで幅を利かせる「ロシアンマフィア」
殺し屋御用達の高級ホテル「コンチネンタル・ホテル」
紳士な老人率いる「掃除屋」
主人公の友人で殺しを用意に見逃す「警察官」
主人公の親友で凄腕の「スナイパー」
金のため平気で主人公を裏切る「美女殺し屋」
特に殺し屋御用達のホテルは、利用客が全員(おそらく)殺し屋なので、血まみれで帰ってこようと、殺し合いが起ころうと微動だにしない。コンシェルジュが冷静に「医者は必要ですか?」「掃除屋を呼びましょうか?」と紳士な対応をされる。
また、「掃除屋」のことを「ディナー」と隠語で伝えるのもよい。作中に「12時にディナーを予約したい」と言うシーンがあるが、そこも中2心をくすぐられる。

話がベタベタなので、合わない人もいるだろうが、シリーズ化されたところを見ると「ベタでもわかりやすいストーリー」と「キャラクターの魅力」が受けたのではないかと推察する。(掃除屋の紳士は2回しか登場しないのにめちゃくちゃ好きになる)
美術もたいへんこられていて、上のシーンもそうだが撮影現場がおしゃれだ。(正直ここはどこだと思うがそんなことどうでもよい。かっこいい)
また、主人公が車好きなのもあり、登場する車がかっこいい。車には詳しくないがハイセンスなのは感じる。またカーアクションもみどころ。
漫画にも使えそうだな―と思ったポイント
- 国問わずベタでシンプルなものは見やすい。それをいかにキャラや世界観で面白くするか
- 少しの登場でインパクトの残せるキャラはいい。それだけでファンになる
- ベタな王道ストーリーの中でも少しのオリジナリティ(今作で言う殺し屋御用達の高級ホテル)があれば魅力が上がり他と差別化できる
ジョン・ウィック2 / 2017(アメリカ)

■あらすじ1にて殺し屋社会に戻ってきた主人公は再び平穏な生活に戻ろうとしていたが、イタリアンマフィアが復帰を聞きつけ仕事を依頼してくる。自分はリタイアしたからと断ると報復に家を燃やされる。旧知のコンチネンタル・ホテルのオーナーに相談すると、ルールに従い仕事を受けることを勧められ、渋々承諾することに。監督:チャド・スタエルスキ
主演:キアヌ・リーブス, コモン, ローレンス・フィッシュバーン
そして今作も中2心をくすぐるキャラクターが多く出てくる。
防弾スーツの「仕立て屋」
殺し屋たちに一斉に連絡を送る「オペレーター組織」(やたら美人でタトゥーが多い)

イタリアンマフィアのボスの忠実な部下である「喋らない女暗殺者」
他にもNYに潜伏する殺し屋の中にバイオリニストに紛れてる女やお相撲さんらしきキャラも。街に何気なく殺し屋が紛れているというのはかっこいい。
戦いの舞台も地下道や美術館の中で視覚的にとても美しい。(キングスマンの教会のシーンも好きだ)

前作同様、王道ストーリーの中で個性的なキャラクターと世界観を詰め込んだ中二心くすぐる作品となっている。またこの主人公は「最強キャラ」なので前作同様1v.s.大人数なのはもちろんのこと今回は武器が枯渇していたので敵を倒しては銃を奪っての繰り返しのバイオ的なシーンもあった。撃たれ殴られ車に跳ねられ、ボロボロになりながらもギリギリの均衡で勝っていくさまに緊張がとまらない。
主人公が1からひたすらに大切なものを失っていく。今作でも大きな後ろ盾を失ってしまい窮地で終わる。カタルシスで言うと1のほうがあったが、シリーズものだという目線で見るととても気になる”引き”で締められている。
漫画にも使えそうだな―と思ったポイント
- 名前も出てこず、主人公と話もしないようなキャラでもたっているのでとても印象に残るし世界観がでている(仕立て屋まで案内した女、NYの殺し屋立ち、ホームレス)
- RPG的な進み方でわかりやすい(ターゲットを始末→口封じに追われる→今度は主人公が追う)
- 主人公は終始寡黙で言葉も少なく、リアクションも大きくないが、面白く感じるのは周りのキャラが濃いかな、と