広告漫画家兼新人商業漫画家(週刊マガ漫画賞受賞)の有柚まさきです。先日このようなニュースが。
『鬼滅の刃』累計1億部突破、1年で約8.4倍 第22巻は過去最多の初版370万部スタートに
多分普段漫画を読まない方でも「1億部」のインパクトは大きいと思います。既に巷でも「鬼滅の刃ヒット考察!」といった記事が散見されますが、
- 自身も漫画を描く者として
- 周囲のプロアマ問わず漫画家の友人の意見
をもとに独自の考察を垂れ流します。
contents
1億万部ってすごいの?
すごいんですよ、これ。漫画大国日本には「ワンピース」「NARUTO」「名探偵コナン」などヒット作品がたくさんありますが、1億部の何がすごいって日本で1億部売れてるタイトルは(これを見る限り)17作品しかないんです。この漫画が売れない時代にこの数字!
こちら、漫画全巻ドットコムさんからの引用です。
単巻発行部数が驚異
更に鬼滅は単巻発行部数(1巻にあたり何冊売れているか)が驚異の数字なんです。
■鬼滅の刃(22巻現在)1億部 / 単巻発行部数454万部
「でもワンピースやDBの方がすごくない?」
すごいです。
しかし連載時期を見ていただきたいです。ワンピースは1997年〜。DBは1984年〜。つまり20年以上前にスタートして長くファンに愛されているんです。その点鬼滅は2016年スタート。この「漫画が売れない!」と言われている時代に置いてこれはすごいです。1億分超えタイトルの中で「進撃の巨人」「鬼滅の刃」のみがここ15年以内で連載開始した作品です。
わかりやすく表を作ってみました。黄色が15年以内に連載開始したタイトル。赤が単巻450万部以上タイトルです。
漫画ってどれくらい売れたらすごいかと申しますと一節には累計で10万部超えたらアニメ化の可能性があるそうなんです。それ以上になってくると舞台化、ドラマ化、ゲーム化など次々とメディア展開していくイメージがあります。5等分の全国イベントや一番くじなどすごい盛り上がりだったのを覚えています。(5等分の花嫁 参考)
そして単巻となると1万部行けば良し!って感じらしいです。(参考 ① ②)最近ですとスパイファミリーの勢いがすごすぎて各ニュースなどにも取り上げられますが、累計10万でアニメ化打診と言われるマンガ業界で1冊でその10倍売れちゃうんだからそりゃあすごいですよね。(極主婦道 参考)(スパイファミリー 参考)
※あくまで所感です。「たくさん」と言ってるのは調べきれなかったからです。多分めっちゃ多い。
結局ヒットの要因は?
これは本当にいろんなところでいろんな説が出ているので明確にこれだ!というものはないと思うのですが、個人的には
- 話がわかりやすい(ゴールが見えてるので子供でも理解しやすい)
- キャラが個性的(子供から大人まで仮装したくなる)
- コロナの影響
かと思っています。
①話がわかりやすい(ゴールが見えてるので子供でも理解しやすい)
最近のヒット作の傾向の1つに「先にゴールを提示する作品」があるかと思っています。
・主人公は最後には海賊王になる
・火影になる
・鎧の体になった弟を助ける
・巨人を駆逐する
・5人の中のいずれかのヒロインと結婚する
その中で鬼滅は
・鬼舞辻無惨を倒す
・禰豆子を人間に戻す
という明確なゴールがあり、敵対構図もわかりやすいです。(裏切りや、交錯した人間関係はない)なので子供でも理解しやすいのだと思います。シンプルなお話の中にもキャラの心情や背景が奥深く描かれているので大人も感動することが出来、老若男女に受け入れられるのだと思います。
②キャラが個性的(子供から大人まで仮装したくなる)
各キャラに「柄」をあてがわれているのが魅力で、人目で誰かがわかるのがとても良いのだと思います。なので子供からコスプレイヤーまで仮装したくなるし、そこまで行かずともキャラの「柄」だけでもグッズ感があるので商品展開もしやすいのかと。
③コロナの影響
良くも悪くもコロナは漫画界を直撃したと思います。ピーク時は緊急事態宣言で書店も閉まり、本の流通が乏しくなっていました。しかし各配信サービスや出版社がアプリ用等を駆使し娯楽を提供してくれました。それにより口コミが広がり「鬼滅ってのがはやってるらしいよ」「暇だから見てみよう」というサイクルが出来たのだと思います。
また、ヒットがヒットを呼び、いままで見たことないくらいコラボグッズや企業タイアップがおおいのは「コロナで落ち込んだ経済を鬼滅効果で復活してもらおう!頼む!」という各界の声を感じます。
映画館行こうぜ!
まぁ理屈は抜きにして鬼滅は面白いです。勇気をもらえます。感動します。素晴らしい作品です。本日(10/16)から映画も始まるのでぜひ映画館に言ってポップコーンを食べて楽しんで翌日の活力にしたらいいと!思います!!
漫画って素晴らしい!!!