最近「まさきさんって何屋さんなんですか?」と聞かれることが多い、まさき(@m_msak7)です。
以前こういう記事をかいたのですが、ここでは「好きなスキル(絵)で食っていくためには別のスキルもいると思う」という話をしました。
今回は、そもそも「技術の高さ」自体の価値はそんなに評価されないという私見を元に、
我々クリエイターがどうやって生き残っていくか(お仕事をさせてもらうか)を書こうと思います。
この記事でのお話は商業クリエイター(世間のニーズに合わせてお仕事を通して作品をだす)方々をモデルに書いています。芸術家・アーティスト(個人の表現をお仕事にされている)方々の考え方とは違うとお考えください。
contents
世間(クライアント)とクリエイターの認識のズレ
「技術の差」はほとんどわからない
今回もわかりやすく絵で例えていこうと思うのですが、結論から言うと
絵がどんなに上手くても、絵描き以外から見たら「そこそこ描ける人も神絵師も同じくらいうまい」という評価なんです。
会社員時代にクライアントにイラストの提案をしました。そこには
- 自分の絵(レベルでいうと梅)
- 最近知名度の上がってきたイラストレーター(竹)
- 露出の多く知名度の高いイラストレーター(松)
を、だしたのですが、クライアントの反応は
「どれがうまいのかわからない。やりとりを考えたら有柚さんがやりやすそうだから有柚さんで。」(デザインも兼任するから)
と言われました。そこで初めて、絵を描かない人から見たら(一定のレベルがあれば)「絵のうまさ」のレベルはわかられないのだと知りました。
もちろん私からしたら提案に並べるのもおこがましいくらいのイラストレーターさん2人をピックアップしたのに、です。
プロジェクトによっては最高のレベル(松)を求められる案件もありますが、前述したように技術差がわかられないので「(一定のレベルがあり)そこそこ上手ければそれで良い。」と思われるのです。むしろ、「一緒に仕事しやすいか」「ちゃんと締切守ってくれるか」の方が優先順位が高かったりします。
正直、技術やネームバリューを求めるような案件は、予算に余裕のある大規模プロジェクトの場合なので結構稀です。
ここでいう「一定のレベル」とは、仕事として対価をもらうに値する技術の高さと定義します。素人目にも下手だとわかるものは、絵描き以外云々関係なくレベルが足りていないので、そういったものではないとご認識ください。
世間は「技術の高さ」をさほど求めていない
結構前ですが、こういった呟きを拝見しました。
イラストや漫画上手い人ほど「完成度高く仕上げなきゃ」って思ってるんですよね。
この前漫画描ける子に僕の絵を描いてもらったら、リアルすぎてウケないし情報が入ってこなかった。
逆に線でササっと書いてもらった絵の方が分かりやすくて喜んでたら「え!?こんなんでいいの!?」という反応だった
— 山口塁 Rui Yamaguchi (@rutty07z) May 15, 2018
(どちらの気持ちもわかるのですが)ここで言いたいのは絵を求めている人は、(絵描きが思うほどの)技術の高さは、さほど求めていない、ということです。
この呟きでいうと「似顔絵(求められている情報)」を描いてもらうことが「目的」なんです。最初の見出し(技術差は絵描き以外はわからない件)も相まって、そこに完成度の高さは求められていなかったんです。
もちろん、絵描き側の気持ちも十二分にわかります。「せっかく期待してもらったのだからハイクオリティのものを渡したい!」と思われたのだと思います。そこで、大事なのは「今、自分は何を求められているのか?」を察する力だと思います。
わかりやすい例が、インスタグラマーです。撮影しているのはプロのカメラマンではありません。なのに素人が撮影した写真が人気を博しているのか?それは、
プロカメラマンのスキル < おしゃれな写真
が、求められており、そのニーズを満たすことができたからです。
きっと厳密にはカメラテクとして甘いところもあるのでしょう。しかし私含めカメラ素人は「おしゃれな写真」であれば「いいね」を押すんです。そこに厳密な技術や知識は求められていないんです。
では「手抜きをしろということか?」と言うと決してそうではありません。任されたのであれば誠心誠意対応すべきです。ここで言いたいのは、技術が高ければ全て良い!という問題ではないということです。
プロイラストレーター講義で必ずと言っていいほど「どうやって絵が上手くなったんですか?」って質問する人いらしゃいますが、「絵が上手ければ勝手に仕事がやってくる」って発想は危険です。
「そこそこのレベル」のものはAIや既存サービスでまかなえる
上記の話に加えて最近はAIや既存サービスの発展も目覚ましいです。そしてとても需要があります。それはなぜかというと、世間(クライアント)は
- 「そこそこのレベル」のものでよい
- 技術差がわからないが故に金額設定がわからない。安くしたい
- 余計なやり取りをせずに作れる/素材があれば便利
を求めているからです。なので、わざわざクリエイターに頼まなくても「そこそこのもの」は、できてしまいます。
例えば、下記のようなものです。
■カットイラスト(いらすとや)
言わずと知れたいらすとやさん!このタッチを見たことがある人がほとんどだと思います。
■ロゴデザイン(Traitor Brands)
これ、ほんとにさくっと、それっぽいのができるんです…しゅごい…
文字を打ちこみ、好みのタイプを答えていくと30秒くらいでつくれます。↓
最近だとWEBデザインや、コピーもAIの技術を使ってできてしまいます。
じゃあ、クリエイターオワコンかよ!?
かというと、そうではありません。上記の話を加味した上でお仕事をすることが求められている、ということです。
クリエイターにもとめられているもの
「技術」以外にも目を向ける
- 「技術の差」をわかってもらえない
- 「技術の高さ」は求められてない
- AIや既存サービスの台頭
→絵描きオワコン!頑張って上手くなっても無駄じゃん!!!!
ということではなくて、
→技術(絵のうまさ)だけにこだわるのでなく、他にも目を向けることが大事
ということです。では、「他」とはなんなのか、というと
調査して分析する「マーケティング力」
どういう仕事がしたくて、それはどういうニーズがあるかを考える力。例えば出版でお仕事したいのであれば、どういったイラストレーターが好まれるか?どういう人が読んでいるか?などを知らべる力
進行のための「人柄」
「仕事しやすい」と思われる気遣い、レスポンスの早さ、納期を守るなどの仕事進行の上での性格の部分
提案し俯瞰して考える「ディレクション能力」
既存サービスやAIではクライアントの真意をさぐり、適切な提案をすることはむずかしいです。いかにそこをキャッチできるかの力とそれを俯瞰して考えられる能力
営業のための「コミュニケーション能力」
「一緒に仕事したい」と思ってもらえるよう信頼関係を構築し、お仕事を得るためのコミュニケーション能力
などです。(あくまで独自の考え方です)
なので冒頭で書いた
「技術の高さ」自体の価値はそんなに評価されない
とは、絵が上手いことは十分すごいし、上手くなるための努力をするべきですが、それだけではお仕事にならない。ということです。
確かにpixivやtwitterからお仕事をいただいている方も多くいらっしゃいます。が、「お仕事来るまで趣味絵描いて待ってるんですか?」というお話です。絵の仕事を本気でしたいと思うならば絵以外の事をやらないといけないと思います。
技術の「高さ」より、「どう活かすか」が求められている
現代は物資もクリエイターもたくさんいます。物資がたくさんあるが故に、企業側は「どうにかして選ばれたい。買ってもらいたい。」と考えますし、クリエイターは「お仕事をもらいたい」と思っています。
その中で
自分の絵を、
デザインを、
写真を、
コピーを、
どう「活かすか」というブレーン(策略)の部分が求められていると感じています。
これは会社員でもフリーランスでも同じだと思っています。技術のみを追求するのでなく、それをどうやって世間(クライアント)に役立てるか?求められるか?という策略です。
まとめ
前提として
- プロである以上最低限の技術の高さは必要
しかし
- 一定のレベルを超えたら、技術の差はわからない
- 超一級の技術の高さを求めているわけでない
- AIや既存サービスの台頭
なので
- 技術だけみがいていたらいいわけではない
- むしろ、それ以外のスキルが必要
- どうやって自分のスキルが活かせるかを策略立てる
ことが今、求められていると考えます。